非常停止のあとの PLC の処理と復帰のフローチャート — 止めるのは安全回路、PLC は後始末と復帰の手順(サンプル)
最終更新: 2026-09-23 / カテゴリ: サンプル・フローチャート / この記事は日本語のみです。
非常停止ボタンで機械を止めるのは、安全リレーや安全 PLC でつくる安全回路です。 標準の PLC は安全機能のために作られておらず、出力のトランジスタが ON のまま壊れたときや、プログラムを書き換えている最中にも止められるとは限りません。
標準の PLC が受け持つのは、止まったあとに勝手に動き出さないようにする後始末と、動かしてよい状態へ戻す手順です。このフローチャートはその PLC 側だけを描いています。 安全回路そのものは、リスクアセスメントをしたうえで規格(ISO 13849-1 や IEC 60204-1 など)に沿って設計します。この図はその代わりにはなりません。
ブラウザで動く無料のエディタが新しいタブで開き、このフローチャートが読み込まれます。インストールも登録も要らず、入力した内容はどこにも送信されません。 書き換えても、このページのサンプルは変わりません。JSON は、エディタで開き直したり AI に渡したりするときの元データです(形式は JSON データ構造の仕様)。
1. 図の補足
- 止め方は 2 通り:すぐ動力を切る停止カテゴリ 0 と、減速させてから切るカテゴリ 1 があります(IEC 60204-1)。 カテゴリ 1 では、サーボアンプや PLC から減速の指令を出し、決めた時間がたったら安全回路が動力を切ります。どちらでも、最後に動力を切るのは安全回路です。 この図はカテゴリ 0 の形です。カテゴリ 1 では、最初の箱の前に「減速停止の指令を出す」と「止まった ?」が入り、サーボオンは止まってから切ります。
- 最初の「安全リレーのモニタ」:PLC は、安全リレーの補助接点を入力で受けます。非常停止ボタンの接点を PLC だけに入れる作りにはしません。
- 「押されたボタンを表示」:どのボタンが押されたかを出すには、非常停止ボタンに安全回路とは別のモニタ用の接点を付け、ボタンごとに PLC へ入れます。
- 「リセットが押されて離された ?」:安全リレーは手動リセットの設定にし、リセットボタンは安全リレーのリセット入力に配線します。 PLC は、同じボタンのもう一つの接点で押されたことを読みます。ボタンを離したときにリセットを受け付ける安全リレーがあるので、PLC も離したところで次へ進みます。
- 「上限 3 秒」:3 秒は例で、リセットボタンを離してから数えます。「動力が入った」に使う信号(コンタクタの補助接点、サーボアンプの準備完了など)が入るまでの時間を測り、余裕を足して決めます。 入らないときは、たとえば安全柵の扉が開いたままです。コンタクタの接点が溶着していると、安全リレーがリセットを受け付けないこともあります。
2. この順番にしている理由
- ボタンを戻す・リセット・起動を、別々の操作にする ボタンを戻しただけで動き出すと、戻した人が、機械の中にいる別の人に気付いていないときに巻き込まれます。 リセットで動力を戻し、起動で動き出す、と分けておけば、動き出す前に周りを確かめる間ができます。 リセットボタンは、機械の中が見渡せて、危ない場所の中からは押せない位置に置きます。 PLC の側でも、非常停止の入力が戻ったことを再開の条件にせず、起動ボタンが押されるのを待ちます。
- 動かす出力は、操作者が起動ボタンか原点復帰ボタンを押すまで OFF のままにする 出力や自己保持が残っていると、リセットで動力が戻った瞬間に、残っていた出力のとおりに動き出します。 位置決めの機器によっては、起動の指令が残っていると、動力が戻ったときに続きを動かします。起動の指令と残りの移動を消しておきます。 表示灯やブザーのように、動きにつながらない出力は OFF にしなくてかまいません。
- 切れたときにどうなるかは、機器で決めておく クランプでワークを押さえている、真空でワークを吸っている、といったものは、動力やエアが切れると離れることがあります。これはプログラムでは解決しません。 シングルソレノイドの弁は、切れるとばねの側に戻るので、ばねの側を掴む向きにします。安全回路でエアを抜く作りなら、抜けても掴んでいられるか(逆止弁で圧を残すなど)を確かめます。 真空は、エアや電源が切れると吸う力が落ちていくので、落ちてもよい置き方にするか、真空を保つ機器を選びます。 上下に動く軸は、動力が切れると自重で下がるので、切れると効くブレーキの付いたモータを選びます。 2 位置のダブルソレノイドは SOL を切っても切り換わったままなので、エアが戻ったときにどちらへ動くかを確かめます(シリンダのサンプル)。
- 位置が分かっていても、止まった工程から続けてよいかを判断する 続きから再開するなら、止まった工程の番号だけでなく、ワークをどこまで加工したか、掴んでいるかも要ります。 分からないものがあるなら、原点復帰して最初からやり直すほうが安全です。どちらにするかを工程ごとに決め、仕様書に書きます。
- 原点復帰は、操作者が起動する リセットのあとに自動で原点復帰を始めると、操作者が準備できていないうちに軸が動き出します。 原点復帰にも時間の上限を決め、途中で止まったら異常を表示して、原点復帰ボタンの待ちに戻します。 アブソリュートのサーボは、動力が切れても位置が残ります。インクリメンタルのサーボは、サーボアンプの制御電源まで切れると位置を失うので、非常停止でどこまで切るかを確かめます。
3. 仕様書に書いておくこと
- 非常停止で動力を切る範囲(どの機器の動力を、安全回路のどこで切るか)と停止カテゴリ、PLC が受け取る信号(1 章)
- OFF にしない出力と、切れたときに掴んだままにするものの機器の選び方(2 章の 2・3)
- 工程ごとの再開のしかた(続きから/原点復帰して最初から。2 章の 4)
- 表示する内容(どの非常停止ボタンが押されたか、どの工程で止まったか。1 章)
- 動力が入るのを待つ時間(1 章)と、原点復帰の時間の上限(原点復帰のサンプル)
ほぼ同じ形で、安全柵の扉が開いたときの停止と復帰も描けます。扉のスイッチも安全回路に入れ、扉を閉めてからリセット、起動の順にします。 人が中に入れる機械では、入る人が扉のスイッチのキー(または自分の南京錠)を持って入り、中にいる間はスイッチが閉じないようにします。 止まりきるまで扉を開けさせたくないなら、ロック付きの扉にし、止まったのを確かめてから解錠する段を図に足します。
エディタで開いたら、記号をダブルクリックして文字を書き換えられます。
このサンプルを作ったツール
- Flowchart Editor — 上の図とサンプルの JSON は、このエディタで作って書き出したものです。
- Timing Chart Editor — 復帰のあとの正常な 1 サイクルは、タイミングチャートで信号の順番を描けます。
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